六甲岩石事典 第3部2章
荒地山岩めぐり(新ボルダーマップの提案 2005年版)


 このコーナーは、1章の「関西の岩場」 白山書房 1985年刊 のボルダーマップに従って取材したものを全面的に見直し、新たに魅力あるボルダーを大幅に追加したものです。黒岩から岩梯子まで荒地山をトラバースするルートは、クライマーだけでなく、一般のハイカーにも岩石をウォッチして楽しんで戴けるよう安全面を配慮して構成しております。(但し、岩場ですので慎重に行動願います)

 参照文献 
@「関西の岩場」 白山書房 1985年刊 p32〜37(「六甲 荒地山」 難波康則 難波秀則 解説)
A「六甲山」 ヤマケイ関西ブックス 2003年刊 p102〜107 (「六甲の岩場」 三輪文一 解説)

岩石の名前 説  明
スタートはここから
黒岩


場所:荒地山の頂上より高座谷に下る道の中ほど左側にある。
松の生えた巨岩が目印
岩の上にすっくと立つ赤松は、いつ見ても雄々しく、見る者に生きる勇気を与える。
松の根方に腰を下ろし、六甲の山々をゆったりと眺める気分は最高だ。
黒岩遠景、松の生えた岩が黒岩
プロペラ岩

場所:黒岩の南側の谷の斜面
飛行機のプロペラにそっくりである。 プロペラ岩を下から見上げたところ
キャップロック
数学の集合に使われる逆U字状の記号に似た岩がプロペラ岩の対岸にある。

場所:プロペラ岩から谷を挟んだ対岸の尾根の中腹
プロペラ岩から見たキャップロック(中央右端の岩)。
キャップロック岩右端上部からプロペラ岩を望む。
キャップロック正面 キャップロック左端の左上するクラック
立て烏帽子

場所:荒地山の岩小屋からプロペラ岩に向かう
ルートとブラックフェースに下るルートの分岐点
神主さんが被っている立て烏帽子にそっくりである 岩の下側から写す
破断岩
おそらく阪神大震災で破断した岩と思われる。
これは貴重なサンプルであり
研究対象である。

場所:立て烏帽子の南の下に隣接した岩
破断して倒れかかっている岩 木が少し邪魔をしているが、左右の岩のジグザクの破断形状がぴつたり一致しているのが分かる。
震災チムニー

これぞ阪神大震災が作った自然の記念碑である。

場所:立て烏帽子から荒地山の肩に登る道の左手に道がある。
荒地山の肩に出る少し手前に分岐がある。
まさに岩が動いたのである。 谷側から見た岩の正面、左半分が完全に消失している。チムニーはこの岩の裏手にある。
サンデー
モーニング
スラブ

日曜日の朝。
この岩が朝日に輝く様を想像すると元気が湧いてくる。

場所:岩小屋の上
岩小屋から見た正面 サンデーモーニングの頂部
左カンテ(縦方向にのびた凸状の岩角) 右スラブ
プラクティス
  スラブ
ちょいとした練習用の岩

場所: サンデーモーニングスラブの右に隣接 したスラブ。

正面 サンデーモーニングスラブ側から見た上面
岩小屋の
  ボルダー


場所:岩小屋の屋根の前
特徴のある穴が目印、左後はサンデーモーニングスラブ 上部、右はサンデーモニングスラブ
亀の首

私も長い間この岩と亀の首との類似性に気づかなかった。しかし、写真を分析しているうちに驚くべき類似性を発見した。
繰り返し同じ岩を見続けると、羊飼いが見出した星座のように、意外なイメージが沸き起こるようである。

場所:岩小屋の屋根の前
岩小屋の屋根から出た亀の首 下側から見た亀の首
猫岩
荒地山ボルダー群の
取材を始めたとき、
私は、この岩こそ
猫の額スラブに間違いないと
早合点した。
それほど、この岩は猫の顔に
似ている。
しかし、ボルダー群のマップに
照らし合わせてみると、
位置的には明らかに
異なっていることがわかった。
それにしても、おもしろい岩である。

場所:荒地山 岩小屋前
サンデーモーニングの下の岩
猫の顔そっくりである
猫岩(下の岩)から見上げた
サンデーモーニング岩
まるで鏡餅のようだ。
岩小屋

場所:荒地山の肩直下
    
雨宿りに最適
4〜5人程度なら収容可能岩小屋の入口、
奥行きは3m程度
岩小屋の屋根にあたる岩
水溜りが光っている
とんがり岩

場所:岩小屋の少し西側
とんがり岩正面 こうして見るとカンテそのもの
ビック
ボルダー

ビックというだけあって、ボルダー群のなかでも最大の見所だ。

場所:岩小屋の下側
鯨の頭 鯨の頭とその右のチムニー
これが有名な?逆の「く」の字のクラック 続いて右に水平のクラックが走る。
横に走るフレークハング。ここを塀を乗り越える要領で突破する。 爬虫類のカンテ、面白い命名だ。ここをトカゲのように岩と体との摩擦を利用してずりあがる。
ハンドジャム
クラック


場所:ビックボルダーの下
正面、クラックが強烈だ。 上から
<ハンドジャム>
クライミングで、岩の割れ目に体の一部を挟み込んで体を支える方法をジャミングjamming[ぎっしり詰め込む]と言う。その中で、靴または足をクラックに差し込んで固定するものを【フットジャム】、手を差し込んで膨らませたり捻ったりするものを【ハンドジャム】、指を使うのは【フィンガージャム】、拳を使うのは【フィストジャム】という。fist[拳固]
ハウス

場所:ハンドジャムクラックの下
まるで屋根の庇のようだ。 下から、ブラックフェースの頂部、ハウス岩、ビックボルダー
ブラックフェース上部

場所:ハウスの下
ルート:ここからビックボルダーまで元来た道を引き返す
ブラックフェース上部 ブラックフェース正面
三角岩
可愛らしい三角形の岩である。

場所:ビックボルダーの右

ずばり、その名のとおりである。
上部の山形の岩は岩小屋の前部。
三角岩の頭とテーブルロック(下)
三角岩の頂部は平凡な長方形である。
コーンフレーク
スラブ

この名の謂われは、ホールドから
コーンフレークはとうもろこしの粉から作る薄片上の食品で、よく朝食などで牛乳をかけて食べる。

場所:三角岩の右
正面 左側面
<フレーク>
岩壁にくっついている岩の薄片。 安定したフレークはよいホールドになるが不安定でつかむとはがれる場合も多く、注意が必要である。

テーブルロック
これも阪神大震災の落し子である。
震災は古い岩を壊して、新しい岩を作り出した。地球の営みの壮大さを思うとき、万感胸に迫るものがある。

場所:三角岩の下
見よ、この平面度!名づけてテーブルロック
上面は鉋で削ったように平らだ。
こうして見ると、四角い岩である。
ミニルーフ

場所:テーブルロックの下
ルート:ここから、コーンフレークスラブまでもと来た道を引き返し、右側に通っている岩梯子の一般登山道に出る。
小さな屋根ではあるが、作りはなかなか凝ったものである。 下から見上げたところ
七右衛門嵒(穴)
昔、荒地山への登り道に七右衛門嵒(ぐら)と呼ばれる人一人がやっと通り抜けられる岩穴が立ち塞がっていた。
登山者は、その穴をくぐって荒地山の山頂に向かった。
その岩穴が、1995年の阪神大震災でつぶされ小さくなったのがこの岩穴である。
この穴でも、空身であれば通り抜けられる。

場所:岩梯子のすぐ上
登り口から見た岩穴 岩穴を抜けたところ、ロープをたらしてある

屋根岩
周りを睥睨する屋根岩の貫禄十分。

場所:七右衛門穴

屋根岩上部 屋根岩側面(岩場梯子側)
右に七衛門穴が覗いている。
ゴール
岩梯子

トップページに戻る