<シリーズ 信仰の山に登る> 

大峰北奥駆け(吉野から前鬼まで)

(日 程)2009年8月13日〜16日 (歩行距離) 50km (参加者)5名

(コ−ス)大峰北奥駆け、修験の森を歩く。 奈良県大峰山北部縦走及び前鬼山裏行場(吉野から前鬼まで)

8月13日(木)《曇後雨》
 大和上市⇒<タクシー>⇒吉野金峯神社(6:20)〜(8:40)四寸岩山〜(9:55)百丁茶屋跡(10:05)〜(11:30)大天井ケ岳(12:10)〜(12:45)五番関(13:00)〜(14:50)洞辻茶屋(15:10)〜(16:00)山上ケ岳・龍泉寺 【宿泊】龍泉寺宿坊  

 前日、大和上市に宿泊し、奥駈縦走の基点である吉野金峯神社を出発、天気は薄曇でコンデションは良好なるも、一部林道歩きがあり、杉檜の樹林帯で味気ないものであった。
百丁茶屋跡から大天井岳に登り、目指す山上ケ岳を遠望。
女人結界の五番関のあたりから雨がぱらつき出し、洞辻茶屋ではとうとう本降りとなった。
龍泉寺宿坊には風呂があり有難い。汗を洗い流しサッパリして、精進料理を食した。
寝不足と疲れで早々に床に就いたが、一晩中、雨音がして明日の天気が心配であった。
出発前 吉野金峯神社にて

8月14日(金)《早朝小雨後晴》
 龍泉寺(6:35)〜(6:45)大峰山寺(7:05)〜(7:40)小笹宿(7:55)〜(8:25)阿弥陀が森(8:35)〜(9:45)小普賢岳(10:00)〜(10:15)大普賢岳(10:30)〜(12:35)七ツ池(13:05)〜(13:20)七曜岳〜(14:50)行者還小屋(15:10)〜(16:20)一ノ垰(たわ)避難小屋(注)〜(16:40)トンネル西口分岐点(16:50)〜(17:35)聖宝宿跡(17:40)〜(18:45)弥山小屋 【宿泊】弥山小屋
 (注)「(たわ)」は聞きなれない言葉であるが、峠と同義語であるとされる。
    他に、「たお」、「とう」、「だわ」などと読まれることがある。
    いずれも山の鞍部(コル)のことをさしているといわれている。

 二日目、今日も長丁場であるが、雨が小康状態になるのを待って出発が少し遅れた。
修験道の本山・大峯山寺で山行の安全を祈願して勤行後、標高1,719.19mの一等三角点を踏んだ。
いざ、弥山を目指して歩き始める。水場もあるキャンプ適地の小笹宿を過ぎると、ブナの自然林となる。
大木が生い茂る奥駈縦走路を快適に歩を進める。
夏山は額から汗を流しながらの山行が当たり前であるが、尾根筋では心地よい風が吹いているので休憩も山談義などして大休止になってしまった。
大普賢岳からはノコギリ状の尾根を行く。
七曜岳への鎖場は急下降しているので慎重に下った。次は行者環だ。
ペースが予定より遅くなっているので、眺望がない行者還岳山頂は省き、東側には大台ケ原山系の山並を眺望しながら先を急ぐこととした。
聖宝宿跡から弥山への最後の登り、通称“胸突き八丁”だ。
流石に阻まれ足が上がらないほど疲労していたが、全員無事弥山小屋に到着、お互いの労をねぎらった。

大峰山寺 山上ケ岳の一等三角点


8月15日(土)《晴のち曇》
 弥山小屋(6:35)〜(7:00)八経ケ岳(7:15)〜(9:15)舟ノ垰(たわ)(9:35)〜(10:10)楊子ケ宿避難小屋(10:25)〜(12:00)鳥の水(12:10)〜(14:15)釈迦ケ岳(14:35)〜(15:10)深仙宿(15:30)〜(15:55)太古の辻(16:00)〜(16:45)二つ岩(16:55)〜(17:40)前鬼 【宿泊】前鬼:小仲坊(注)
 (注)前鬼:小仲坊 
    役行者に従った前鬼・後鬼が住み着いた地という。
    彼らの子孫と伝えられる
    五鬼上(ごきじょう)、五鬼継(ごきつぐ)、五鬼助(ごきじょ)、五鬼熊(ごきぐま)、五鬼童(ごきどう)の五家が宿坊を営み、
    釈迦ヶ岳から山上ヶ岳への修験道奥駈入峰(おくがけにゅうぶ)の先達(せんだつ)を務めた。
    現在は五鬼助(ごきじょ)<小仲坊>のみが残る。付近に前鬼裏行場がある。

 三日目、“御来光”を拝してから出発、今日は良い天気になりそう。
近畿の最高峰・八経ケ岳(1,914.64m)から南を目指す。三日目であるが身体が山歩きに馴染んできてこの豊かな自然林の主稜線を歩いていると、心が洗われる思いだ。
明星ヶ岳、仏生ヶ岳を通過、いよいよ北奥駆けの核心部、孔雀岳にかかる。
孔雀覗き、檬の鼻、両部分けをやり過ごす。
ここが宗教界で南北の境である。
北は金剛界、南は胎蔵界と言うそうだ。
急峻な登りを詰めると一旦空鉢岳に乗りさらに急斜面を登り詰めると、釈迦如来の銅像が立っている一等三角点の釈迦ケ岳(1,799.55m)に到達する。
お釈迦様の面前で勤行を行う。あいにくガスで視界はきかない。
小休止して詩仙宿、太古の辻へと進み、ここからゴールである前鬼へと下山した。
八経ケ岳山頂にて

8月16日(日)《曇のち晴》【前鬼裏行場:三重滝(みかさねのたき)】((注)
 小仲坊(5:55)〜(6:40)垢離取場(こりとりば)(6:55)〜(7:10)不動ノ滝(7:20)〜(7:25)役行者をまつる窟にて勤行(7:35)〜(7:50)馬頭ノ滝(8:00)〜(9:30)小仲坊

 四日目、約3時間の裏行場:三重滝巡りを行った。
宿坊に荷物を置いて出発。
峠を一つ越えると前鬼川の川筋に出る。
澄んだ淵で山伏が水垢を取る場所である垢離取場を渡って、対岸の山腹を絡むように登る。
切り立った岩壁に沿った階段を下ると、三重滝の二段目の滝である不動ノ滝(落差60m)の直下に出る。
対岸の急斜面を上がると役行者をまつる窟があり、ここで最後の勤行を行う。
さらに、垂直の屏風ノ横駈を通る。
次に二十八宿と呼ばれる10m垂直の鎖場をバランスで登りきると、上段の滝・馬頭ノ滝(落差45m)の直下に出た。
滝を眺めていると心洗われる思いである。
澄んだ水で顔を洗い口も濯ぐと清々しい気持になる。今回の長丁場の終着地点として最高の場所であった。

垢離取場(こりとりば) 役行者をまつる窟
   
不動ノ滝 馬頭ノ滝

   私は、日本百名山を完登しているが、ブナ林など自然林が生い茂る縦走路、満天の星空を仰ぎ、裏行場の滝を巡りなどなど、四日間50km強を歩き、近畿の山もこんなに良いところがあるんだと改めて認識した次第。
また、単独行が多い私にとって、山仲間と過酷な大峰山奥駈道を共に歩き、その労をお互いにねぎらい、また、楽しい山談義など、充実した山行経験ができた。
09年の夏休み、貴重な収穫があったことに感謝している。
更に、今後も奥駈の南部・熊野本宮まで縦走したいと胸を膨らませております。
リーダーほか参加の皆さん、お疲れ様でした!!
“南無神変大菩薩”

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