黒部五郎岳・雲ノ平

          2003年7月18日〜22日

18日の夜、大阪駅北口を車に分乗して出発、有峰口の有料道路のゲートが7時に開くので、小矢部川サービスエリアで5時まで仮眠を取る。有峰口に着くと既にゲートは開いており、折立には既にたくさんの車が止まっている。
雨が降っているのでカッパを着て、遠藤さんを先頭に出発。歩きは始めてまもなく雨は小降りになったが、湿度が高いので雨に濡れているのか、汗をかいたからか判らなくなり上だけ脱ぐ。雨でぬかるんだ登り道は歩きづらい。
途中、三角点で小休止し、森林帯を抜けると登りになり、身を隠すものもなく右手から大ツブの雨が強風と共に吹きつけてくる。カッパを着けるまでの間に身体が冷えてしまった。そこからは足が上がらず、息もあがる。ニッコウキスゲやわたすげが見えるけど、景色はまったく見えず、ただしんどいだけ・・・
やがて、太郎平小屋が見えたときは、ホッとした。ここはいい小屋である。乾燥室にはストーブがガンガン焚いてあり、ちょっと入るだけでムッとする。廊下にはカーテンで区切られた更衣場所もあるし、寝場所はふとん4枚に6人だった。
薬師岳へ登る予定であったが、雨が降り続いており、ガスで何も見えないので断念する。
自炊室で昼食、まもなく雨がやみ、写真を撮りながら和佐、遠藤さんがいるテント場へ行ってみることにしたが、本当にこっちなのかと思うくらい遠かった。二人はテントの中でもう横になっていたのを、梅原さんが無理やり誘って小屋に戻り、自炊室で宴会が始まった。夕食は5時から先着順だ、食事が終われば後は寝るのみ。

20日、朝食を弁当にして5時に出発、ガスの中、黒部五郎岳を目指す、登っては下り、登っては下りを繰り返しながら高度を稼ぎ、せっかく登ったのに下るのは悔しい。それに時折雨が降っている。やがて最後の登りらしくずっと登りばかり続く、足が重く、身体全体が岩になったように堅い。イワギキョウか、チシマリンドウが群生している場所があり、写真を撮りたいが身体が思うように動かない。もうちょっと、もうちょっとと思いつつやっとの思いで、「黒部五郎岳頂上」だ。ガスで展望はまったく見えず、晴れていると雲ノ平など素晴らしいパノラマだろう!! 全員で記念写真を撮る。

                 黒部五郎岳頂上にて

ここで、山田さんに預けていた水をもらう、というのは山田さん、深江さんの二人は登ってきた太郎平小屋に引き返し、私達4人は稜線ルートから黒部五郎小屋を目指してそれぞれ出発した。
稜線といっても道というより石から石へ渡っていくような感じだ。雪がけっこう残っていて雪渓の上を、踏み後を頼りに歩くがどこかで抜けて落ちるのではないかとひやひやし、こんなところでガスにまかれてしまったら、ルートが判らなくなったらと思うと怖くなる。ケルンが左手に見え、そこから谷道となり黒部五郎小屋へ、直前に大ツブの雨にあわててカッパを着て、小屋に到着である。小屋の中では何人もの登山者が雨宿りをしている。自炊室は狭いが昼食をとっていると、雨もやんできた。
小屋からは登りで、それも急登なので疲れた身体にはこたえる。ミヤマハハコがピンクでかわいい、写真を撮りたいがカメラを出す気力がない。
三俣蓮華岳に到着、ここからは急な下りで一気に三俣山荘へ、シナノキンバイ、ミヤマキンバイ、ハクサンイチゲが素晴らしい。見るだけで精一杯!
15時に山荘に到着、バンザ〜イ!千円の生ビールでカンパ〜イ、ホットウイスキーを飲むと頭がまわりだす、雨が降ってきてあわてて部屋へ、私達の場所へちがう人が寝ている。昼から飲んでいるというヨッパライ、疲れて寝ようとしている私にちょっかいを出してきてうっとうしい。外は雨が降り続いており、明日はどうか?心配である。

21日、昨夜からずっと雨、テレビでは九州で大雨警報、全国的に雨、気が重い。朝食を済ませ、雲ノ平へ向けて出発、源流は渡れないかも?向こう側の急斜面を雲ノ平に向けて、何人も取り付いているのが見えたから源流は渡れるけれど、あの登り・・・、ザックの重さは出発のときからほとんど変わりなく、疲れた身体に食い込み、更に、雨が追い討ちをかける。ミレーのザックは腰バンドが付いていて、ウエストポーチができないので、首からかけるポーチにしてみたが、片肩に食い込んで痛い。
雲ノ平は、平坦というイメージであったがそうではなかった。今までの登りよりはまし、遠くに小屋が見え、雨の中、時おりガスが切れて山々が見渡せる。雲ノ平キャンプ場の水がおいしいので汲んでいった方がいいそうだ。木道を歩いていて、滑って木道の外に転げ落ちて仰向けになり、カメ状態でおきられない。また滑らないように慎重に歩くことにした。
雲ノ平小屋に11時に到着。太郎平まで行くか、雲ノ平に留まるか相談の結果、留まることにした。小屋に自炊室がなく、ブルーシートで覆われた外で湯を沸かし、昼食をとる。小屋の主は年がいっているようだか、今日は機嫌が悪いのか無愛想だ。雨があがってきたので、カメラを持って散歩に出かける。ハクサイチゲ、ミネズオウ、チングルマ、ミヤマキンバイ、小屋の人の話では黒百合も咲いているという。その後、いい天気になり、ガスがどんどん晴れ、山が見えてくるにつれ歓声があげる。昨日の太郎平から三俣までの長いこと、10時間も歩いたのだから、今日はのんびりと写真を撮ることとした。薬師岳の写真を撮りたいのに、ちょっとが晴れなくて撮れなかった。
江頭、梅原、谷田さんの3人は、今から祖父岳に登ってくるという、5時までに帰ってくるのは大変だ。私は写真を撮りながらあちこち散歩をしていたが、3時過ぎにまたガスが出てきたので、写真をあきらめて小屋に帰ることにした。客が少なく一人ふとん1枚になり、隣のおじさんグループが別のところに移動していった。

          祖母岳より雲ノ平小屋・水晶岳を望む 

22日、明け方、星がきれいだと皆がささやいている。私は目が半分しか開けられず、まぶたが腫れていてこれ以上開けられない。そんなことを言っておられないので何とか準備して出発。空はきれいに晴れあがり昨日までの雨がうそのようだ。写真を撮ったがフィルムが残り少なく思うように撮れなかった。
やがて急な下り道、雨で石が滑りやすく、気を抜くことができない。やっとの思いで薬師沢小屋にたどりつく。今度は登り、昨日の雲ノ平への登りほどではないが、だらだらと登りになっている。息が苦しく、大きな息をしても呼吸が楽にならない。カッパを脱ぎ少し身軽になったが足が上りにくい。他の人に迷惑をかけていると思うと余計にしんどい。

     河童がすんでいるといわれるカベッケヶ原のキヌガサ草

何とか太郎平小屋に登りついた。ここで昼食、ラーメンを注文して食べた。
ここから折立までは下りだけだと思うと気が楽である。梅原さんはどんどん先に行ってしまって姿も見えない。折立にたどりつきトイレのホースで泥んこの靴やストックを洗い、帰り支度をして出発。
途中、国民宿舎「白樺ハイツ」で汗と疲れを洗い流し、サッパリして帰路についた。

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